セラミックの試作と短納期対応

株式会社セライズ

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耐摩耗性

耐摩耗性を高めるセラミック

セラミックは高硬度であり、摩耗に対する抵抗力が優れています。アルミナはステンレス鋼の約3倍の硬度を持ち、長期間使用できる製品を生み出します。この特性により、産業機械の部品寿命を大幅に延長し、メンテナンス頻度の低減とコスト削減を実現します。

事例紹介

事例1
事例1
製造機械
課題
  • 産業装置において摺動部の摩擦で交換部品の入手が長期化。
  • メンテナンスコストがかかっていた。
ご提案

摺動部品を従来のSUSや金属から耐摩耗性の高いアルミナ96%に変更を提案。

効果
短期間での調達、長寿命化、低コストの実現
事例2
事例2
溶接機
課題
  • 溶接電極の絶縁性と耐久性に課題。メンテナンス頻度が高いため作業時間の長期化が課題。
ご提案

耐摩耗性と絶縁性能が高いアルミナ96%をご提案

効果
交換頻度の改善と長寿命化。作業効率改善とコスト削減
事例3
事例3
微粒化装置
課題
  • 装置のチップ先端のキャピテーション(液体中に圧力変動が生じ、局所的に液体の蒸気圧が下がることで気泡が発生し、その後崩壊する現象) により、金属部分が劣化。装置寿命の短縮化が課題。
ご提案

合金だったチップ先端を耐摩耗性が高く、衝撃に強いジルコニア、アルジルに変更を提案

効果
金属粉の混入防止とともに長寿命、交換頻度の改善。コスト削減を実現。


セラミックの耐摩耗性とは

産業機械や製造設備において、部品の摩耗は性能低下やメンテナンスコスト増加の主要因となっています。特に高速回転部品、摺動部品、研削・研磨工具など、常に摩擦にさらされる部品では、耐摩耗性は製品寿命と直結する重要な特性です。

このような課題に対して、セラミックの優れた耐摩耗性が注目されています。セラミックは高硬度であり、摩耗に対する抵抗力が金属材料を大きく上回ります。例えば、アルミナはステンレス鋼の約3倍の硬度を持ち、長期間使用しても初期の形状や精度を維持することができます。


高硬度

セラミックは金属材料よりも高い硬度を持ち、物理的な摩耗に対する抵抗力に優れています。

長期安定性

長期間使用しても摩耗が少なく、初期の形状や精度を維持することができます。

化学的安定性

腐食環境下でも化学的に安定しており、複合的な摩耗要因に対して優れた耐性を示します。


耐摩耗性の科学的メカニズム

セラミックの優れた耐摩耗性は、主にその高硬度に起因しています。硬度とは、材料が他の物質による押し込みや引っかきに抵抗する能力を示す指標です。セラミックは原子間の強固な結合(イオン結合や共有結合)により、非常に高い硬度を実現しています。

一般的に使用されるセラミック材料の硬度を比較すると、アルミナ(Al₂O₃)はモース硬度で9、炭化ケイ素(SiC)は9.5、炭化ホウ素(B₄C)は9.5+と、ダイヤモンド(モース硬度10)に次ぐ硬さを持っています。これに対し、ステンレス鋼のモース硬度は約5.5~6.5程度です。

この高硬度により、セラミックは摩擦による表面の削れや変形が極めて少なく、長期間にわたって形状精度を維持することができます。

セラミックの硬度比較
  • アルミナ:モース硬度 9
  • 炭化ケイ素:モース硬度 9.5
  • 炭化ホウ素:モース硬度 9.5+
  • ステンレス鋼:モース硬度 5.5~6.5

耐摩耗性と他の特性との関連

セラミックの耐摩耗性は、以下のような他の特性とも密接に関連しています。

硬度と靭性のバランス

一般的に硬度が高いほど耐摩耗性は向上しますが、靭性(割れにくさ)が低下する傾向があります。用途に応じて適切なバランスを選択することが重要です。

表面粗さ

表面粗さは摩擦係数と摩耗率に大きく影響します。精密な研磨を施したセラミック表面は、低い摩擦係数と優れた耐摩耗性を示します。

熱的特性

摩擦による発熱は摩耗を促進する要因となります。セラミックの熱伝導率や熱膨張係数も、実際の使用環境での耐摩耗性に影響します。

化学的安定性

腐食環境下では、化学的安定性も耐摩耗性に大きく影響します。セラミックは一般的に優れた化学的安定性を持ち、腐食性環境下でも高い耐摩耗性を維持します。

産業界におけるセラミック耐摩耗材料の応用

製造機械・産業機械での応用

製造機械や産業機械では、摺動部品、ガイド、ベアリング、シールなど、摩擦にさらされる部品にセラミックが広く使用されています。特に、高精度が要求される半導体製造装置や精密機械では、セラミックの高い耐摩耗性と寸法安定性が重要な役割を果たしています。

例えば、テキスタイル産業では、糸を導くガイドやノズルにアルミナセラミックが使用されています。これらの部品は常に高速で移動する糸との摩擦にさらされますが、セラミックの高い耐摩耗性により長期間にわたって精度を維持し、糸切れや製品不良を防止しています。

流体機器での応用

ポンプ、バルブ、ミキサーなどの流体機器では、摩耗と腐食の両方に対する抵抗性が求められます。特に、スラリーや研磨剤を含む流体を扱う装置では、セラミックの耐摩耗性が不可欠です。

例えば、鉱業や製紙産業で使用されるスラリーポンプのインペラーやライナーには、アルミナや炭化ケイ素などのセラミックが採用されています。これらのセラミック部品は、研磨性の高いスラリーによる摩耗に対して優れた抵抗性を示し、ポンプの寿命を大幅に延長します。

切削・研削工具での応用

金属加工や木材加工などの分野では、切削工具や研削工具にセラミックが使用されています。特に、高速切削や難削材の加工では、セラミックの高温硬度と耐摩耗性が重要な役割を果たしています。

例えば、アルミナをベースとしたセラミック切削工具は、高速での鋳鉄や硬化鋼の加工に適しています。これらの工具は従来の超硬工具に比べて高い耐摩耗性を持ち、長時間の連続加工が可能です。

耐摩耗セラミック材料の選定ポイント

材質選定のポイント

耐摩耗セラミックを選定する際には、以下のポイントを考慮することが重要です。

  • 使用環境の理解:摩耗の種類(アブレシブ、エロージョン、疲労など)を特定し、それに適した材質を選定
  • 硬度と靭性のバランス:単に硬度だけでなく、使用環境に応じた靭性も考慮した材質選定
  • 相手材との適合性:摺動相手の材質との相性を考慮(例:同種セラミック同士の摺動は避ける)
  • 表面仕上げの可能性:必要な表面粗さを実現できる加工性を持つ材質の選定
  • コスト効果:材質コストと寿命延長効果のバランスを考慮