セラミック加工に関するよくあるご質問

セラミック加工に関して、お客様からよくいただくご質問とその回答をまとめました。
ご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

基本情報について


セラミックス加工は、耐熱性・耐食性・電気絶縁性など、金属や樹脂にはない特性を持つセラミックスを、お客様のご要望に応じた形状や精度に仕上げる技術です。金属や樹脂は切削や塑性加工などで比較的容易に形を作ることができますが、セラミックスは硬く脆い性質を持つため、通常の加工法では割れや欠けが生じやすく、特殊な研削・研磨などの精密加工技術が必要です。このため加工は難易度が高い反面、仕上がった部品は高温下でも変形せず、強い薬品にも侵されにくく、電気を通さないなど独自の機能を発揮します。

当社セライズでは、セラミックスが持つ「5耐」(耐熱性、耐摩耗性、化学耐性、耐久性、UV耐性)を最大限に活かし、従来の金属や樹脂加工品では対応が難しい環境でも最適なソリューションを提供しています。たとえば、金属では酸化や腐食が進んでしまう薬液環境、樹脂では強度不足となる高温領域などにおいて、セラミックス加工品は長寿命で安定した性能を発揮します。


当社では、お客様の多様なご要望にお応えするため、幅広いセラミックス材料を取り扱っています。主要な材料として、アルミナ(Al2O3)、ジルコニア、窒化ケイ素、炭化ケイ素(SiC)、ステアタイト(MgO・SiO2)などがございます。

さらに、アルミナとジルコニアを組み合わせた「アルジル」をはじめ、コージライト、窒化アルミニウム、マシナブルセラミックスなども対応可能です。それぞれの材料が持つ特性を踏まえ、用途に最適な材料をご提案いたします。


当社は微細な穴加工から複雑な形状や精密部品、大型製品まで幅広い加工に対応しています。半導体製造装置で使用される微細なピンや、六角穴を持つセラミックス製ボルト、光ファイバー関連部品のセラミックスV溝など、多種多様な形状の実績がございます。

サイズについては現在、170×170mm程度までの加工に対応しておりますが、ご要望に応じてさらに大きなサイズにも柔軟に対応できるよう体制を整えております。お客様のニーズに合わせ、最適な加工方法をご提案いたします。

技術・品質について


当社のセラミックス加工は、JIS中級公差を基本とした対応となります。高精度を必要とする場合には、研磨仕上げなどの方法を組み合わせることで精度向上を図ることも可能です。たとえば、六角レンチ対応ボルトの試作では、収縮率や変形を考慮しながら治工具を調整し、要求精度を満たす加工を実現いたしました。グリーン加工(未焼成状態での加工)においても同様にJIS中級公差での対応が可能です。お客様の用途やご要望に合わせ、最適な加工方法をご提案いたします。


当社は原料から焼成、後加工まで一貫生産できる体制を整えており、多様な加工方法に対応しています。切削加工、研削加工、研磨仕上げはもちろん、グリーン加工により焼結前の生素材を加工することで、加工時間とコストの大幅な削減を実現しています。

成形技術では、乾式プレス成型、押出成型、CIP成型、射出成型など各種技術を保有しています。また、絶縁性能向上のための表面コーティングや、真空環境で使用する部品向けのメタライズ処理やろう付接合など、特殊な加工にも対応しています。


はい、当社は「金型なしで1個から」の試作を迅速にご提供できる体制を整えています。お客様の開発初期段階から量産化まで、一貫したサポートが可能です。新製品開発や既存製品の改良に向けた技術課題の解決のため、多くのお客様から技術評価用の試作のご依頼をいただいています。


当社はISO 9001の認証を取得しており、「お客様が欲しいものを欲しいときにお届けする」という品質方針のもと、徹底した品質管理を行っています。お客様の課題解決を第一に考え、高品質で信頼性の高い製品をご提供できるよう、継続的な改善に取り組んでいます。

納期・コストについて


当社の強みの一つは短納期対応です。グリーン加工を活用することで、最短5日での試作提供も可能です。お客様から図面や仕様をいただいてから24時間以内に見積もりと納期回答を行うことを目標としています。

ただし、特殊な大型素材の調達には1ヶ月以上かかる場合もございますが、その際も社内での内製化を進めることで、可能な限りリードタイムの短縮に努めています。


コストは主に材料費、加工内容、数量によって決定されます。特にグリーン加工は、焼結後の硬い素材を研削する後加工と比較して、加工時間を大幅に短縮でき、コストも大幅に削減できる有効な方法です。

量産時には、製品専用の金型を製作することで加工工数を削減し、さらなるコスト低減のご提案も可能です。お客様のご予算に応じて、最適な製造方法をご提案いたします。


はい、金型なしで1個から試作や加工のご依頼を承っています。お客様の必要数に応じて柔軟に対応し、最適な製造方法をご提案いたします。少量でも品質に妥協することなく、丁寧に製作いたします。


スムーズなお見積もりのため、以下の情報をご提供いただければ幸いです。図面データ(DXF、STEPなど)をご提示いただければ、まず製作可否を検討し、お見積もりを作成いたします。

また、ご希望の材質、数量(試作から量産まで)、希望納期もお知らせください。さらに、使用環境に適した材料特性をご提案するため、具体的な使用条件や用途についても詳しくお聞かせいただければ、より適切なご提案が可能となります。

応用・事例について


セラミックスは、その優れた特性から幅広い業界で活用されています。半導体製造装置、医療機器・バイオ分野、航空宇宙・防衛産業、自動車産業など、最先端技術を支える分野で重要な役割を果たしています。また、真空技術を応用した装置の絶縁部材としても、広く用いられています。

さらに、エネルギー関連(水素、太陽光、二次電池、風力)、分析機器・研究機関、照明分野(LED関連)、一般産業機械部品、通信分野(IoT、5G、光通信)など、私たちの生活を支える様々な分野でセラミックスが活躍しています。


セラミックスは実に多様な用途で活用されています。半導体製造装置では、ウェハーの昇降や受け渡しに使用されるセラミックスリフトピン、熱処理工程用の部品、プラズマ発生装置内の絶縁部品などがあります。

高電圧・高温環境では、パワーデバイスの絶縁部品や水素製造装置の高温部品として使用されています。耐摩耗性が求められる分野では、金型部品、微粒化装置、光ファイバーカッター、自動車製造装置の摺動部、裁断機の刃、印刷機のローラーなどに採用されています。

化学耐性が必要な環境では、化学反応槽、バイオ系装置、クリーンルーム内治具、ポンプ用部品などで活躍しています。また、LED用ヒートスプレッダーや航空宇宙産業の耐熱材など、放熱性が求められる用途でも重要な役割を果たしています。


多数の実績がございます。樹脂部品では、摩耗する部品をセラミックスに置き換えることで寿命を大幅に延長した事例や、熱や紫外線で劣化するコネクタをステアタイトに変更し、長寿命化と安全性向上を実現した事例があります。

金属部品では、高温環境で変形や溶融する金属ボルトをセラミックスで再現した事例や、超音波破壊装置のチップ先端のチタン部品をジルコニアに変更し、寿命を4倍に延長した実績があります。また、高光度白色航空障害灯の電気供給部分にセラミックスを採用し、耐久性と安全性を大幅に向上させた事例もございます。

取引・サポートについて


はい、本社を東京都大田区に置き、新潟県上越市に三和工場と大島工場を展開しており、日本全国のお客様からのご相談に対応しています。展示会への積極的な出展を通じて、多くのお客様と直接お話しする機会を設け、お客様の課題解決に貢献しています。


海外輸出入への対応については、詳細を直接お問い合わせください。お客様のご要望に応じて、個別にご相談させていただきます。


お客様からのお問い合わせから納品まで、以下のステップで進めさせていただきます。まず、ご質問やお見積もりのご要望がございましたら、お気軽にご相談ください。お客様の抱える課題やご要望をじっくりお聞きし、理解することを大切にしています。

次に、図面や要求事項を基に試作のお申し込みをいただき、24時間以内に見積もりと納期回答を行います。ご発注後は金型なしで1個から製作を開始し、完成次第、入金確認後に発送いたします。このように、スピーディーかつ確実にお客様のもとへ製品をお届けします。


当社は、単にセラミックスを提供するだけでなく、お客様の事業課題の解決に向けて共に取り組むパートナーでありたいと考えています。研究開発段階であっても、共に試行錯誤し、解決策を考える姿勢を大切にしています。

セラミックス部品の再利用(再焼成による不純物除去など)による廃棄物削減にも貢献しており、お客様の課題に興味を持ち続け、セラミックスの特性を活かしたご提案や新製品・新技術開発に努めています。このような姿勢から、お客様のニーズに応じたサポートを継続的に行っています。

その他のよくあるご質問


当社が提案する「5耐」とは、セラミックスが持つ5つの優れた特性「耐熱性」「耐摩耗性」「化学耐性」「耐久性」「UV耐性」を表しています。耐熱性では1500℃以上の高温にも耐え、酸化されない特性を持ちます。耐摩耗性では、金属よりも高いヤング率と剛性により、摩耗しにくく長寿命を実現します。

化学耐性では、酸やアルカリに侵されにくく、過酷な薬品環境下でも使用可能です。耐久性では、過酷な環境下でもサビや経年劣化がなく、長期間安定した性能を維持します。UV耐性では、紫外線による変色や劣化が少ないという特徴があります。これらの特性は、お客様の課題解決のために非常に重要な要素です。


1個の試作から大量生産まで幅広く対応しています。創業55年の経験を活かし、セラミックス製品の製造と量産に携わってきました。金型成型を含む最適な製造方法で、安定した部品供給が可能です。

グラファイト加工機、複合加工機、NC旋盤、各種研磨機、連続炉・バッチ炉、自動乾粉成型機など、量産に対応できる充実した設備を保有しており、お客様のご要望に応じた生産体制を構築できます。


セラミックスは、特殊環境下での電気接続部品に求められる優れた絶縁特性を持っています。真空装置、高温環境・水中で使用するコネクタ、センサーなどで活用されています。

また、宇宙関連部品、船舶などの塩害対策部品、高電圧をかけるパワーデバイスの絶縁部などでも重要な役割を果たしています。半導体製造装置内のプラズマ発生装置では、不純物が入らない高緻密性のアルミナが絶縁用として求められています。


アルミナ(Al₂O₃)は、特に波長3~6μmや10μm付近の赤外域で光をよく反射する性質を持っています。このため、赤外光を利用する分野で有効な材料として使われています。具体的には、赤外センサーや光学部品、航空宇宙分野の耐熱材、電子機器や半導体製造装置に用いられる赤外線ヒーターの反射板など、幅広い用途で活用されています。


当社はSDGs(持続可能な開発目標)への取り組みの一環として、セラミックス廃材の再利用にチャレンジしています。試作等で発生する生素材の削り粉を焼成し、従来の原料に混ぜることで、耐久性が改善されるケースがあることを確認しています。

この取り組みにより、廃材を大幅に削減し、環境対策に貢献できると考えています。資源の有効活用と性能向上を両立させる、革新的なアプローチとして推進しています。


グリーン加工は、セラミックス粉末成型体を焼結前(生素材)の状態で加工する方法です。焼結により約10%寸法が収縮することを見越して計算し加工を行います。

焼結後の硬い素材をダイヤモンドなどで研削加工する後加工と比較して、加工時間を大幅に短縮でき、コストも大幅に削減できます。これにより、試作や小~中ロットの製造において、費用を抑えながら短納期で対応することが可能になります。


当社は「セラミックスソケットメーカー」として、設計開発から評価まで多くの経験を持っています。この経験を活かし、セラミックスに関する組立品やアッセンブリも得意としています。

たとえば、産業用乾燥機で赤外線ランプを使用するヒーターメーカーからのご相談に対し、ランプが着脱しやすいワンタッチ式のソケット(受け側)とランプベース(挿入側)の構造を提案し、メンテナンスのしやすさの向上に貢献した実績があります。


半導体は5G、AI、自動運転、DXなど、デジタル社会を支える不可欠な存在であり、半導体製造装置には多くのセラミックス部品が使用されています。特に耐熱性能が高いセラミックスは熱処理工程で使用される部品に多く採用されています。

また、耐プラズマ性(化学耐性)、電気絶縁性、低パーティクル性(耐久・耐摩耗性)も求められます。最近では、最先端半導体への移行期となり、従来よりも微細・高精度が要求される分野で、アルミナや窒化アルミなどの試作依頼が増加しています。通信、生成AI、自動車分野における半導体需要の拡大に伴い、セラミックス部品の需要も増加すると期待されています。