ようやく、新型コロナウイルス感染症が「5類」になって、本来の生活に戻りつつありますね。今年のゴールデンウイークは、どこも賑わっていました。
でもまだ東京の街ではマスクをしている人がほとんどです。完全にマスクが外せる世の中には戻りそうもないですね。また、今度は別の感染症が出てくるのでは?と思う人も少なくないでしょう。
ある本に、このようなことが書かれていました。
「人間は先々のことばかり考えすぎている。明日の出来事は、予測することはできてもはっきりと予知はできない。だから人は考え過ぎて心配症に陥りがちである。
ところが広い世界には心配とは無縁の人々もいる。ブラジルのアマゾン熱帯雨林の先住民である『ピダハン』がそうである」
初めて聞いた「ピダハン」という民族に、たいへん興味が湧いたのでさっそく調べてみました。
【ピダハン族とは?】
★アマゾン川の支流のひとつであるマイシ川沿いの4つの村に住んでいる少数民族
★狩りや釣りをして生きる狩猟民族
★外の世界を拒み、近年になってごく少数の宣教師や研究者が接触した以外は、300年前にポルトガル人と接触したという記録のみ
【ピダハン語とは?】
★過去や未来を表す言葉がない
★男や女という性差を表す言語がない
★兄弟姉妹より離れた親族を表す語がない
★交感的言語(相手との間に一体感や連帯感を生む言葉)がない。すなわち、「こんにちは」「さようなら」などの人間関係を維持するための言葉がない
★私たちの言語であれば当然ある、「区別」がない
【ピダハン族の思考】
★今の瞬間を生きる
言語に未来型と過去型がないということは、未来と過去を考えることがない。
つまり過去を後悔することも、未来を不安に思うこともない。
この瞬間だけを生きている。
★区別のない世界観
私たちは他人と自分を分けて考えるので、怒りや嫉妬、差別、悩みなどが生まれる。
しかしピダハン族は「他人と自分」「自分と世界」などの区別が曖昧。
一見すると、ピダハン族の暮らしは原始時代からあまり変わっていないように思えます。けれど、彼らの言語や思考は未開だと言いきれるでしょうか?
人間の悩みは、過去の後悔、未来への不安、そして人間関係に分類されるといいます。
けれど、ピダハン族には過去も未来も存在せず、他人と自分の区別も明確には存在しない・・・
ということは、人間が本来持つ苦悩が存在しないのです。
キリスト教の宣教師が彼らのもとを訪れたことがありましたが、彼らの心には響かなかったそうです。彼らには悩みや不安がない。だから神の救いは必要なかったのでしょう。
新型コロナウイルス感染症が「5類」になったとはいえ、この約4年間、私達は「見えない恐怖」に怯えて生活してきました。それにより、自殺者の増加が顕著になっています。
特に心配なのは、子どもたちです。小中高校生の自殺が過去最高になってしまったほか、不登校の子どもも急増しているとのことです。
現代人は、多くの人が悩みや不安を抱えています。
そんな現代人へのヒントが、このピダハン族にあるのかもしれません。
今この瞬間だけを生きるピダハン族の思考が、私たちの生き方の参考になるかもしれないですね。